
はじめに
当ウェブサイトにて、アドバイザーとしていろいろなルーマニア情報を教えてくれるエミリアによるルーマニアにまつわる連載コラムです。第2回は、ルーマニアの四季の楽しみについてお届けします。
四季の楽しみ
ルーマニアは地理的にバルカンに位置していますが、民族的にはフランス人やスペイン人と同じラテン系です。そのためか明るい性格の人が多く、飲んで食べて遊ぶ人生を楽しむことが大好きな民族だと言われています。実際に、ルーマニア人たちはどんな季節にあっても生活を楽しむための理由探しが得意です。

秋は豊穣を祝う収穫期ですが、それは同時に冬季の食料貯蔵に供える時でもあります。各地で収穫祭が催されますが、なかでもワイン祭りの数多さでは際立っていています。地ワインのテイスティングは、お酒好きの人にとって最高の楽しみになっています。知名度は決して高くはありませんが地ビールも豊富です。当然ですが、こうしたお祭では伝統的な料理や民族音楽と舞踊がセットになってイベントが盛り上がります。秋のルーマニアに笑顔は絶えません。
ルーマニアは厳冬の国です。長い時間、人々は屋内で過ごさなければなりませんが、そんな冬にも楽しみは盛りだくさんです。冬場最大のイベントはやはりクリスマスでしょう。ツリーを飾ったりプレゼントを買ったり、あるいはご馳走を準備したり。田舎では、この時期に一家総出での「豚さばき」が一大儀式になります。家畜である豚を解体して越冬用の保存食を作るのです。

そしてこれが終わると、人々は家であろうと街のレストランであろうと盛大なパーティーを開き、食べ切れないほどのご馳走を囲んでシャンペンで乾杯、ダンスに興じて花火を打ち上げます。日本人には想像できないかもしれませんが、時に3日間もパーティーが続くことすらあります。そう、ルーマニアの冬はパーティーの季節ともいえるかもしれません。

曇り空の合間から日光がさし、氷のように積もっていた雪が溶けはじめるとルーマニア人たちはまた遊びに夢中になります。春の匂いが少しでも感じられる天気になると、新緑の溢れる場所を見つけだしては野外バーベキューを楽しみます。森のなかでも小川のほとりでも自然を満喫できる場所さえあれば、そこは週末のバーベキュー会場となります。ルーマニア人が好んで食べるのは、豚の肩ロースと自家製のソーセージ、それと特産のミチ(ミチテイともいう各種ひき肉を混ぜたもの)です。
肉を焼くのは親たちの役目です。火のおこし方、炭のくべ方、火加減から肉の焼き方まですべてが家族独自のやり方にこだわるのです。これがルーマニアスタイルですが、もちろん一番大切なことは肉が柔らかく美味しく焼けているかどうかです。
夏になるとルーマニア人は何をして遊ぶのでしょうか。答えは海水浴です。海水浴は昔からルーマニア人家族の遊びのなかで最重要スケジュールなのです。国内の黒海沿岸には250キロにもわたる海岸があります。海で遊ぶ習慣は古くからあり、日光浴と海の潮風が人間の身体を健康に保つと信じられています。ですから、親たちは夏になったら子供を海へ子供を連れて行く責任があるとまで考えています。ただ最近はそればかりではありません。日常生活のストレスから逃れて心身をリラックスする、あえて怠惰になる。明るく人生を楽しむために海水浴は欠かせないイベントだと思っているのです。

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