欧州サッカー連盟が主催する、ヨーロッパ各国の代表チームによって競われるサッカートーナメント「EURO2024」。17回目となる今大会では、開催国ドイツを除く23チームが出場を予定しています。予選は2024年3月までに終了しており、サッカー・ルーマニア代表は「EURO 2024」の本戦に出場することが決定しました。今回は、ルーマニアのサッカー事情から今大会における注目選手までご紹介します。
ルーマニアのサッカー事情
ルーマニアにおいて、サッカーは他のヨーロッパ各国と同様に絶大な人気を誇り、国民文化や日常生活に深く浸透しているスポーツと言えます。様々な角度からルーマニアにおけるサッカー事情について見てみましょう。
歴史的成功
ルーマニア代表は、1930年第一回FIFAワールドカップにおいてヨーロッパの4つの代表のうちの一国として出場するなど、古くからサッカーの強豪国として認識されてきました。特に、1990年代の功績は大きく、「ゲオルゲ・ハジ(Gheorghe Hagi)」のようなスター選手に率いられた「黄金世代」は、国際大会で素晴らしい成績を収めています。1994年のFIFAワールドカップ、そして2000年のUEFA欧州選手権「EURO2000」では準々決勝に進出するなどの結果を残しています。現在は、強豪が集うヨーロッパでその実力を示すのはなかなか難しい状況ではありますが、「EURO2024」の本戦への出場を果たすなど、ルーマニアサッカー界において、新たな時代に突入していると言えるでしょう。
国内リーグとクラブ
ルーマニアの国内サッカーシーンは活気に満ちており、豊かな歴史と熱狂的なファン層を誇るクラブがいくつも存在しています。特に、ルーマニアのトップリーグである「リーガI」に位置する、「ステアウア・ブカレスト Steaua Bucharest(現FCSB)」、「ディナモ・ブカレスト Dinamo Bucharest」、「CFRクルージュ CFR Cluj」といったクラブは多くのファンを抱え、国内だけでなくヨーロッパの大会でも結果を残してきました。これらのクラブはしばしば激しいライバル争いを繰り広げ、ファンの熱狂的な支持を集めています。
サッカーファン
ルーマニアのサッカーファンはヨーロッパの中でも、熱狂的な応援で知られています。特にトップクラブや代表チームの試合では、観客動員数が多く、スタジアムの雰囲気も活気に満ちていると言えるでしょう。ドイツで行われる「ユーロ2024」でもたくさんの応援が期待でき、スタジアムではルーマニア人による熱烈なサポートが行われることでしょう。
結論として、ルーマニアにおけるサッカーの人気は絶大で、その豊かな歴史と強力な国内リーグ、熱狂的なファン層、そして充実した青少年育成プログラムや広範なメディア報道など、文化的な影響も大きいと言えます。サッカーは、ルーマニアの生活の中心的存在であり続け、多くの人々に興奮と誇りをもたらしているのです。
EURO2024におけるルーマニア
今年3月までに行われた「EURO2024」の予選を勝ち抜き、本戦への出場が確定したルーマニア代表チーム。「EURO2024」は、前回大会において出場を逃したルーマニアにとって大きなイベントと言えます。ルーマニア代表の試合が開催されるドイツ・ミュンヘンとは文化的にも強い繋がりがあり、ミュンヘンにはたくさんのルーマニア人が居住しているため、ファンからのサポートも期待できるでしょう。現在のルーマニアの代表チームについてご紹介します。
現在のルーマニア代表チーム
監督は、ルーマニア国内プロリーグで、監督するチームを度々王者に導いてきた、エドワード・イオルダネスク(Edward Iordănescu)氏。彼の指導の下、ルーマニア代表チームは予選ステージの厳しいグループIを勝ち抜き、その回復力と戦術的手腕を発揮して出場権を確保しました。
「EURO2020」において予選敗退を喫したルーマニアチームにとって、今大会で予選を勝ち抜き本戦への出場を決定したことは、エドワード監督の大きな功績であるとも言えるでしょう。
今大会でもその采配に大きな期待がかかります!
サッカー・ルーマニア代表、注目選手
代表チームで最も支持を集めているのは、キャプテンの、ニコラエ・スタンチウ(Nicolae Stanciu)と言えるでしょう。ルーマニアの国内リーグで経験を積んだのち、ベルギーの「アンデルレヒト」へ移籍。在籍していた2016-2017シーズンにベルギー・プロリーグで優勝するなど、成功を収めました。スタンチウの技術力とプレーメイキング能力はアンデルレヒトの中盤で極めて重要な役割を果たし、UEFAチャンピオンズリーグやヨーロッパリーグの重要な試合にも出場しています。
現在は、サウジアラビアの「ダマックFC」でプレー。攻撃的MFのスタンチウは、その創造性、視野の広さ、そしてフィールドでのリーダーシップで高く評価されています。
2016年以来、ルーマニア代表チームに在籍、現在はチームのキャプテンでもあり、チーム全体のパフォーマンスを牽引するエンジンでもあるのです。また、FKやPKも得意なため、今大会でも得点が期待されています。
ルーマニアサッカー界のサラブレッド、イアニス・ハジ(Ianis Hagi)。ハジの父は、東欧のマラドーナと評されたゲオルゲ・ハジ(Gheorghe Hagi)で、イアニスも幼少期よりサッカーに囲まれて育ち、父親のサッカーに対する情熱と才能を受け継いだ選手と評されています。15歳からルーマニアの国内プロチームでプレーし、その後イタリア「セリエA」、ベルギープロリーグなど、ヨーロッパの競合チームでもプレー。現在は、スペインリーグの「アラベス」に在籍しており、攻撃的ミッドフィルダーもしくはウインガーとして活躍しています。
彼は優れたドリブル、正確なパス、視野の広さで知られ、ユース時代から活躍するルーマニア代表チームに欠かせないスター選手です。
会場でも彼を応援する一際大きな声援が常に響いています。
ルーマニアサッカー界の超新星、ディフェンダーのラドゥ・ドラグシン(Radu Drăgușin)。ルーマニア国内の様々なユースチームを渡り歩いた後、2018年にはイタリア・セリエAの強豪・ユベントスのユースチームに移籍し、セントラルディフェンダーとしてのスキルを磨きました。その後、サンプトドリア、サレルニターナ、ジェノアなどのトップチームで試合経験をつみ、現在はトッテナム・ホットスパーに在籍中。
2021年よりルーマニア代表に参加し、類まれないディフェンス能力を発揮しています。
プレースタイルとしては、身長1.91mの長身を生かして、力強いタックル、空中戦の強さは目を見張るものがあります。
若き代表として将来のルーマニアチームを牽引する存在になると期待されている選手です。個人的には甘いマスクにも注目!
EURO2024の試合スケジュール
ルーマニアは、ベルギー、スロバキア、ウクライナと争うグループEに組み込まれています。今大会の優勝候補の一角・ベルギー、高い守備力を誇る・スロバキア、番狂せを起こす力を秘めたウクライナと、決して簡単なグループではありません。
【グループE:試合日程】
6月17日(月):ルーマニア対ウクライナ(会場:ミュンヘン)、ベルギー対スロバキア(会場:フランクフルト)
6月21日(金):スロバキア対ウクライナ(会場:デュッセルドルフ)
6月22日(土):ベルギー対ルーマニア(会場:ケルン)
6月26日 (水):スロバキア対ルーマニア(会場:フランクフルト)、ウクライナ対ベルギー(会場:シュトゥットガルト)
グループEにおける勝ち上がりは、ベルギーが最有力と言われており、他の3チームがノックアウトステージへの残り1枠を争う、熾烈な戦いが予想されています。しかし、現在のルーマニア代表チームは、ディフェンスのラドゥ・ドラグシンやミッドフィールドのイアニス・ハジなど、経験豊富な選手と若い選手が混在しています。規律正しい守備と、キープレーヤーたちの創造性により、グループリーグ突破の可能性は十分にあるとも言えるでしょう。日本でも試合中継の視聴が可能なチャンネルもたくさんあるので、ぜひ一緒に応援しましょう!


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