Romanian Artists ルーマニアの芸術家

東欧に位置するルーマニアは、民族的多様性と豊かな歴史を背景に、数多くの芸術家を輩出してきました。美術、文学、音楽の分野において国際的に評価される人物が多く、彼らの活動はヨーロッパ文化の発展にも欠かせない存在です。

  1. ルーマニアのアート(美術)
  2. ルーマニアの文学(作家)
  3. ルーマニアの音楽(作曲家・演奏家)
  4. 映像インスタレーション・現代美術
  5. まとめ

コンスタンティン・ブランクーシ(Constantin Brâncuși, 1876–1957)

ルーマニアが誇る20世紀を代表する彫刻家。パリで活躍し、抽象彫刻の先駆者と呼ばれる。代表作「無限の柱」や「眠れるミューズ」は、形態の簡素化と普遍的な美を追求した作品として知られる。

ニコラエ・グリゴレスク(Nicolae Grigorescu, 1838–1907)

ルーマニア近代絵画の父とされ、印象派的な筆致で農村や歴史的場面を描いた。特に農民や兵士の日常を主題とすることで、ルーマニアのアイデンティティを芸術に投影した。

ゲオルゲ・ペトラシュク(Gheorghe Petrașcu, 1872–1949)

色彩豊かな風景画や人物画で知られ、ヨーロッパの象徴主義や後期印象派の影響を受けつつ独自の表現を確立した。


ミハイ・エミネスク(Mihai Eminescu, 1850–1889)

ルーマニアの国民的詩人で、ロマン主義の代表。叙情的で哲学的な詩はルーマニア語文学の基盤を築き、今日でも「国民詩人」として広く称えられている。学校でも詩の一節の暗唱を推奨するほどで、彼を記念して1月15日のルーマニア文化の日が制定されている。

ミルチャ・エリアーデ(Mircea Eliade, 1907–1986)

作家であり宗教学者としても世界的に有名。小説『蛇』などで神話的要素と幻想的世界を描きつつ、学術的には比較宗教学の権威として影響を与えた。

マリン・プレダ(Marin Preda, 1922–1980)

戦後ルーマニア文学を代表する小説家。代表作『大地が燃えるとき』では、農村社会の変容をリアルに描き、社会主義体制下でも高い評価を得た。


ジョルジェ・エネスク(George Enescu, 1881–1955)

ルーマニアを代表する作曲家・ヴァイオリニスト・指揮者。交響曲や室内楽、オペラ『オイディプス』などで知られる。民族音楽の要素を取り入れ、国際的に高く評価された。その功績を記念してブカレストの交響楽団は彼の名を冠している。

1978年にルーマニアの公共放送TVRによってルーマニアのアテネウムで行われたコンサートの様子。指揮Sergiu Celibidache、演奏「ジョルジュ・エネスク フィルハーモニー管弦楽団」。

ディヌ・リパッティ(Dinu Lipatti, 1917–1950)

夭折した天才ピアニスト。繊細で澄み切った音色は今なお伝説的で、録音はクラシックファンにとって必聴とされる。

ミハイル・ジョラ(Mihail Jora, 1891–1971)

ルーマニアのクラシック音楽界を代表する作曲家・教育者。国立音楽院(現・ブカレスト国立音楽大学)の教授として多くの弟子を育て、交響曲、バレエ音楽、室内楽を残した。特にバレエ音楽《ラ・クルジュのカフェで》(La Piață)はルーマニアの民族的要素を巧みに取り入れた代表作として知られています。


ダン・ペルジョフスキ(Dan Perjovschi, 1961– )

イラストと風刺的なドローイングで知られる現代美術家。MoMA(ニューヨーク近代美術館)など世界的な美術館で展示され、社会・政治的テーマをシンプルな線画で表現する。

ジタ・ブラテスク(Geta Brătescu, 1926–2018)

ルーマニア現代美術を代表する女性アーティスト。映像、コラージュ、ドローイングなど多様なメディアを駆使し、個人と社会の関係性を探求。美術のオリンピックとも称される「ヴェネツィア・ビエンナーレ」でもルーマニア代表として参加し、世界中から高く評価された。

数カ国語のインタビューですが、英語翻訳が入っているのでわかりやすいです。彼女の絵を描くことについての理解を共有することや創作活動におけるパーソナル・スペースの重要性について語っています。

現代ルーマニアの芸術家たちは、社会主義時代の影を振り払いながら、国際舞台での存在感を確立しています。このほかにも、映画では社会のリアリティを抉る「ルーマニア・ニューウェーブ」、ファッションでは伝統とモダンを掛け合わせた独自の表現、現代美術では社会や記憶を問い直す実験的な試みが目立ちます。これにより、ルーマニア芸術は歴史と現代をつなぐ架け橋として、新しい注目を集めているのです。作品については、日本の美術館が所蔵していたり、ウェブ上で楽しめるものもありますので、ぜひ「ルーマニア」をキーワードに作品を楽しんでみてはいかがでしょうか?