Romanian Wine -ルーマニアのワイン-

ルーマニアのワインって?

ルーマニアワインについて何かご存知でしょうか。実は、ルーマニアは世界でもトップクラスのワイン生産国です。正確な順位は、気候や収穫量、ブドウ畑の面積の変化などによって年毎で変動しますが、ワインの生産量・世界ランキングにおいて、ルーマニアは通常12位から13位程度に位置づいています。1位から10位までは、イタリアやフランス、アメリカなど、ワインの産地として有名な国々がランクインしていることを鑑みても、ルーマニアはワイン大国の一つと言えるでしょう。(ちなみに日本は26位程。)ルーマニアは、恵まれた気候と多様なテロワール(ブドウ畑を取り巻く自然環境要因)のおかげで、質・量ともに重視したワインを生産しています。また、ルーマニアでは自家製のワインを作る家庭もたくさんあります。それほど、ルーマニア人にとってワインは身近なアルコールなのです。ルーマニアワインのポイントをいくつかご紹介します。


ルーマニアワインの歴史

  • 古代の起源:ルーマニアのワイン造りの伝統は6,000年以上前にさかのぼり、世界で最も古いワイン生産地のひとつと言われています。現代のルーマニア人の祖先である古代ダキア人は、ローマ帝国に征服される遥か以前からブドウの木を栽培し、ワインを生産していたのです。
  • 中世から近代:中世を通じて、ルーマニアワインはヨーロッパの王侯貴族の間で人気を博します。共産主義時代(1947~1989年)には、質よりも量に重点が置かれるようになったと言われていますが、共産主義の崩壊により、質の高いワイン生産が復活を果たしました。

ブドウ品種

ルーマニアでは、国際品種と土着品種の両方を栽培しています。

  • 土着品種
    • フェテアスカ・ネアグラ(Fetească Neagră): 2000年以上前の遺跡からも発見されている葡萄で、豊かで濃い果実味を持ち、しばしばスパイシーでスモーキーなニュアンスを持つワインを生み出します。ルーマニアを代表する赤ワインを生み出す品種で、ブラックベリーやプラムなどの濃い果実味とスパイシーでスモーキーな香りを持つ、リッチなフルボディのワインを生み出します。熟成能力が高く、国内外で楽しまれているのもこの品種です。
    • フェテアスカ・アルバ(Fetească Albă): アロマティックでフローラルなワインを造ることで知られる白ブドウです。スパークリングワインの生産に使われることが多く、また適度な酸味と柑橘類や桃の風味をもつアロマ豊かな白ワインを生み出します。
    • フェテアスカ・レガラ(Fetească Regală): ルーマニアで人気の高い白ブドウ種。フレッシュでフルーティーなワインを生むと言われています。他の白ワイン種に比べて熟成に耐えることができる品種で、スパークリングワインを生み出す品種でもあるのです。バラなどの花の香り、ドライアプリコットやアーモンドなどの果実の香りが評価されています。
    • グラサ・デ・コトナリ(Grasă de Cotnari):15世紀から生産されており、甘口や半甘口のワインに使われる伝統的な白ブドウ品種です。成熟期を過ぎ、灰色腐敗病の状態で収穫されるため、非常に高い糖度で優れた白ワインやデザートワイン、リキュールワインを生み出します。
    • タマイオアサ・ロマネアスカ(Tămâioasă Românească): 力強いマスカットに似た芳香のある白ブドウで、高品質の白ワインに用いられます。辛口と甘口の両方のワインが造られており、フローラルなバラのアクセントや、柑橘類、グレープフルーツ、アプリコット、エルダーベリー、洋ナシ、ハチミツの風味を持つと言われています。
  • 国際品種:
    • メルロ、カベルネ・ソーヴィニヨン、ピノ・ノワール、シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブランといった一般的な国際品種も広く栽培されており、ルーマニアのテロワールによく適応しています。

ワインの産地

ルーマニアは国全体がワインの産地と言えるほど、各地域にたくさんのワイナリーが存在しています。ここでは、大まかではありますが、歴史ある産地をご紹介します。

  • ムンテニアとオルテニア:南部に位置し、力強い土着種を中心とした赤ワインと風味豊かな白ワインを生産しています。
  • モルドヴァ: 北東部に位置するこの地域は、ルーマニア最大とも言えるワインの生産量を誇ります。希少な土着種であり最高級の黒ブドウ種も育てており、芳醇な赤ワインの産地と香り高い白ワインの産地として有名です。
  • トランシルヴァニア: 冷涼な気候で知られ、フレッシュで爽やかな白ワインやスパークリングワインを得意とします。
  • ドブロギア: 黒海の近くに位置し、海洋性気候の恩恵を受け、独特のミネラル感を持つ赤ワインと白ワインが生産されています。
  • バナット:ルーマニア南西部にある地域で、ブドウ畑の作付け面積は小さいものの、ワイン産業が最も発展している地域の一つと言われています。
  • クリシュアナ: ルーマニア西部地域では、赤、白、ロゼのミックスワインが生産されており、多様なミクロクリマ(局地的気象条件)の影響を受けた個性的なワインが多いと言われています。

ルーマニアの有名なワイン

ルーマニアはいくつかの有名なワイン、特にルーマニア固有のブドウ品種から造られるワインで知られています。赤ワイン、白ワイン、ロゼはもちろん、スパークリングワインやデザートワインも生産しています。これらのワインは、ルーマニアのブドウ栽培の多様性と豊かさを表しており、土着品種と国際品種の両方から高品質のワインを生産するルーマニアの能力を示していると言えるでしょう。ルーマニアワインは、そのユニークな風味と優れた価値により、国際的な舞台で認知されつつあるのです。

フェテアスカ・ネアグラ(Fetească Neagră)

  • タイプ:赤ワイン
  • 説明:ルーマニアを代表する赤ワインと言われるフェテアスカ・ネアグラは、ブラックベリーやプラムなどの濃い果実味とスパイシーでスモーキーな香りを持つ、リッチでフルボディのワインです。熟成能力が高く、国内外で楽しまれています。

グラサ・ド・コトナリ(Grasă de Cotnari)

  • タイプ:白ワイン
  • 説明:グラサ・ド・コトナリ種から造られる半甘口から甘口のワイン。蜂蜜やアプリコット、花のアロマとフレーヴァーで知られています。コトナリのワインの歴史は古く、特に中世のヨーロッパで珍重されたとも言われています。

ローマワイン(Tămâioasă Românească)

  • タイプ:アロマティックな白ワイン。
  • 説明:このワインはマスカットに似たタルマイオアザ・ロマネアスカ種から造られています。辛口と甘口の両方があり、柑橘類、アプリコット、蜂蜜の香りを持つ、非常にアロマティックなワインです。柑橘類、アプリコット、蜂蜜の香りがあり、その芳香性からマスカットとよく比較されます。

フェテアスカ・アルバー(Fetească Albă)

  • タイプ:白ワイン
  • 説明:フェテアスカ・アルバは一般的にフレッシュで芳香があり、花や果実の香りで人気です。辛口から半甘口まであり、バランスのとれた酸味と心地よい香りが楽しめます。

フェテアスカ・レガラ(Fetească Regală)

  • タイプ:白ワイン
  • 説明:青リンゴ、洋ナシ、柑橘類の香りを持つ、フレッシュでフルーティーなワインです。一般的にライトからミディアムボディで、辛口とオフドライのスタイルがあります。

ネグル・ド・ドラガシュアニ(Negru de Drăgășani)

  • タイプ:赤ワイン
  • 説明:ネグル・ド・ドラガーニから造られるこのワインは、深い色合いとしっかりとした骨格で知られています。ブラックチェリーやプラムなどの濃い果実味と、スパイシーで土っぽいニュアンスが特徴です。

バベアスカ・ネアグラ(Babească Neagră)

  • タイプ:赤ワイン
  • 説明:バベアスカ・ネアグラは、明るい酸味とチェリーやラズベリーなどの赤い果実の風味を持つ、軽めのボディの赤ワイン。古くからある品種で、爽やかで飲みやすいワインと言われています。

ヴィヌル・ド・ピエトロアゼーレ(Vinul de Pietroasele)

  • タイプ:デザートワイン
  • 説明:ピエトロアゼーレ地方で生産されるこのデザートワインは、その甘さと豊かで複雑な風味が魅力です。しばしば貴腐化したブドウから造られ、甘美で濃縮された特徴を持っています。

ルーマニア産ワインの現状

  • 品質重視:1990年代以降、多くの生産者が近代的なワイン醸造技術と設備に投資し、量より質へと大きくシフトしています。
  • 輸出の成長:ルーマニア産のワインは国際的な認知度を高めており、輸出量は着実に伸びています。
  • ワインツーリズム:多くのワイナリーがツアーやテイスティング、宿泊施設を提供しており、ワイン目当ての旅行者も増えています。

全体として、ルーマニアワインは古くからの伝統と現代的な革新が融合し、国の多様な地理と気候を反映した幅広いスタイルと風味を備えていると言えるでしょう。ルーマニアではもちろん、日本にもルーマニアワインを専門に取り扱うワインショップもあるので、ぜひネットでお取り寄せして、ルーマニアワインを楽しんでみてくださいね。また、ルーマニアをご旅行の際は、ぜひワイナリーへの訪問、宿泊もおすすめです。All about Romania では、個人、グループともにおすすめの旅行先のご提案も可能です。興味のある方は、お問い合わせからご質問ください。