ルーマニアで人気のエリア
ルーマニアの国土は、日本の本州と変わらないほど大きく、地方により伝統や文化も異なります。エリアごとの特色から、訪れる旅先を選んでみたい人はこちらからどうぞ。

Transilvania/トランシルヴァニア

- 名前:ラテン語で「森の向こう側」を意味する
- 場所 :ルーマニア中央部(南にトランシルヴァニア・アルプス、東と北東に東カルパティア山脈、西に西カルパティア山脈(唯一の非連続山脈)に囲まれている)
- 面積 :34,177平方マイル
- 人口 :510万人
- 主要都市:Alba Iulia(アルバ・ユリア)、Bistrita(ビストリタ)、Brasov(ブラショフ)、Cluj Napoca(クルージュ・ナポカ)、Deva(デヴァ)、Medias(メディアス)、Miercurea Ciuc(ミエルクレア・シウク)、Sfântu Gheorghe(スファントゥ・ゲオルゲ)、Sebes(セベス)、Sibiu(シビウ)、Sighisoara(シギショアラ)、Targu Mures(タルグ・ムレシュ)
トランシルヴァニア地方はルーマニア中部に広がる地域を指します。ほとんどがルーマニア人からなるルーマニアですが、この地域は、ルーマニア人に加え、12世紀に植民してきたドイツ人(ザクセン人)やハンガリー人、ハンガリー系の少数民族セーケイ人などから構成されている多民族なエリアでもあります。
そのため、トランシルヴァニア地方では、民族衣装や建築、料理、音楽、伝統に多民族で構成されてきた歴史が色濃く表れているのです。少し都市部を離れるとルーマニアらしい牧歌的な風景が広がっていることもさることながら、ヨーロッパでも有数の保存状態である中世の姿が残る街や城塞教会などの世界遺産、ドラキュラ伝説で知られる古城など、ルーマニアで最も観光客に人気のエリアと言えるでしょう。
特にルーマニア第二の都市でもあるBrasov(ブラショフ)は、ルーマニア屈指の美しい街として知られています。ザクセン人が築いた城壁や砦、カラフルなバロック様式の建物に囲まれた広大な広場やゴシック様式の黒の教会があり(右・写真上)、ヨーロッパらしい景観が魅力。観光客にも大人気で、ブラショフ近郊にある「ブラン城」(右・写真下)は、おとぎ話に出てくるようなゴシック様式の古城です。1377年に建設されたこのお城は、ブラム・ストーカーによる小説「ドラキュラ」の着想源にもなったと言われ、この小説の主人公は15世紀のワラキア公「Vlad Drăculea(ヴラド・ドラキュラ)」にちなんでいると言われています。

このほかにも、Hunedoara(フネドアラ)にあり、15世紀に建てられた「Corvin(コルヴィン)城」は、中世を彷彿とさせる塔やバットレスがあり、多くの人がトランシルヴァニアで最も美しいと表現するほど。(写真左・上)確かに、御伽噺に登場するような可愛らしい外観が、なんとも印象的です。このような古城を訪れるのもトランシルヴァニアエリアの魅力なのです。
また、ブラショフの近くには、世界遺産でもあるザクセン時代の要塞教会が点在。要塞教会とは、中世の時代に周りの攻撃から集落を守るために建てられた、要塞の機能を兼ね備えた教会のことです。最も壮観と言われているのが、巨大な城壁に守られ、現在も13世紀の塔が現存する「 Harman(ハーマン)要塞教会」と、南東ヨーロッパ最大の要塞教会である「Prejumel(プレジュメル)要塞教会」。どちらも世界遺産の要素として登録されており、トランシルヴァニアには要塞教会のうち7つは世界遺産として大切に保存されています。
石畳の道とトランシルヴァニア風バロック建築が見事なSibiu(シビウ)はルーマニア最大規模のクリスマスマーケットで人気(右写真・上)ですし、秘密の通路と14世紀の時計塔がある丘の上の城塞都市Sigisoara(シギショアラ)は街そのものが世界遺産に登録されており、トランシルヴァニアで最も人気のある観光地です(右写真・中央)。トランシルヴァニアの他の多くの町の歴史地区では、パステルカラーの家々に挟まれた狭い通りに、地元の職人が作ったアンティークや手工芸品を扱う小さな店が並んでいて、旅心が刺激されることでしょう。

そして、トランシルヴァニアの魅力といえば、小さな集落です。郊外の村には、何世紀も前から続くカラフルな家々が軒を連ねます。農村部の人々は、羊飼い、織物職人、鍛冶屋、大工など、昔ながらの職業で今も生計を立てており、近年では、その変わらないライフスタイルが注目を集め、のんびりとした田舎の生活を体験できる民宿や民泊も人気です。昔ながらの方法で、ワイン作りやジャムなどの保存食作り、機織りや手刺繍、川での洗濯に水車を使った粉挽…日本人でもどこか懐かしさを感じる伝統的な暮らしを体験するには、トランシルヴァニアがぴったりです。
また、トランシルヴァニアの山間部には地形をそのまま利用して、まるで絵画のような風景を独り占めできるペンションや、丘の上に置いたバスタブで野外入浴が楽しめる、ユニークな宿泊施設が多いのも魅力。大自然にそのまま身を置くだけ、”何もしない贅沢”を体験することができるでしょう。
自然をもっと体験したい方には、カルパティア山脈へ足を運んでみましょう。西部のアプセニ山脈には、絶景もさることながら希少種の野生動物が生息していることで知られています。4,000以上の洞窟とヨーロッパで2番目に大きい地下氷河、スカリソアラ氷河の探検も可能ですよ。
首都ブカレストから電車やバスを利用することもできますし、国際空港もエリア内にあるのでヨーロッパの各都市を経由してダイレクトに訪問可能です。
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Muntenia
モンテニア(ワラキア)は、ルーマニア南部の地域名です。発展をし続けるエネルギッシュな首都・ブカレストがあり、かつては14世紀に建国されたワラキア公国がありました。

Moldova
ルーマニア北東部にあるモルドヴァ地方。トランシルヴェニアと並び、歴史、民族、豊かな自然が体験できるエリアとして人気を集めています。ルーマニア国民の旅行先としても人気。

Black Sea and Danube Delta
欧州で2番目の長さのドナウ川は、ルーマニアを通り黒海へ続きます。手付かず自然が残るドナウ河口は、様々な動植物の宝庫で、自然遺産にも登録されています。

